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学会について
沿革
  「成人病」という名称は、日本独自のものであり、昭和31年(1956年)3月に厚生省に最初の記載が見られ、翌昭和32年(1957年)2月の成人病予防対策協議連絡会(厚生大臣の諮問機関として設置)第1回会合の議事録の冒頭に、その見解として、「成人病とは主として、脳卒中、がんなどの悪性腫瘍、心臓病などの40歳前後から急に死亡率が高くなり、しかも全死因の中でも高位を占め、40〜60歳位の働き盛りに多い疾患を考えている」とされた。成人病の英訳語は、”adult diseases” が用いられて来ている。
 「日本成人病学会」は、そのような成人病学の進歩・普及を図ることを目的として、初め「成人病研究会」として発足した。その第1回研究会は昭和45年(1970年)9月14日東京都のホテル・ニューオータニにおいて約3000名の参加者を得て開催され、特に内科・外科・眼科・脳神経科・泌尿器科・精神科・老人科など各科の医師が共通の場で論議し新しい知識を取り入れ正しい方向を見出す場を提供するように努められた。
  その後毎年2回の研究会が開催されたが、昭和49年(1974年) 1月に成人病研究会を「日本成人病学会」と改組し、同学会の会則を定め、以後毎年1回開催することとなった。その後会長の主催の下に理事・評議員・監事・幹事等が学会の運営・企画に当たることとなった。学会における特別講演・シンポジウム・一般演題などの要旨を掲載する「日本成人病学会雑誌」を年1回発行し、また日本成人病学会準機関誌として、月刊誌「臨床成人病」を定め、本学会にて発表された全演題を同誌におさめることとなった。
  以後、1月14日と15日など成人の日の近くで開催されてきた。当初多くの演題が出された分野の中には、その後独立した医学会が設立されたものもがあったが、本学会は広い立場から成人病全体を見るように努めて来た。かくして、本学会学術集会も36回を数えるに到った。
  一方、社会全体も大きく変貌し、日本人の寿命が世界一に伸びると共に「働き盛り」よりも老化の方に関心が移動し始め、本学会もそれを意識して進められた。
  さらに、平成8年(1996年)12月、厚生大臣諮問機関である公衆衛生審議会成人病難病対策部会より、生活習慣病(life-style related diseases)という概念が提唱された。それは、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」とされた。すなわち、この概念は、その要因に遺伝因子によるものも含む成人病の中の一部分である。しかし一般報道には「成人病は生活習慣病に変わった」とされることもしばしばあり、また概念的にはことなるとしても現実には両疾患が重複する部分もかなりある。
平成14年(2002年)1月、本学会は名称を「日本成人病(生活習慣病)学会」と変更した。これは、本学会の対象の主体は従来の成人病であって、生活習慣病もその中にある〜それにほぼ近いという姿勢を示すものであり、それにより対象を明確にして本学会がより大きく発展することを狙っている。
成人病も生活習慣病も、いずれもその時代の背景の下に厚生大臣諮問機関より提唱されたものであって、その奥には、日本国民に広く存在する病気の予防を念頭に置いたとされる。
 今後本学会は両疾患の概念を踏まえ、高齢化社会も見据えながら、臨床家に役立つように進めることになろう。
(2002.1. 杉下 記)

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